Number Nine (#9)

正しくは、NumberNine Visual Technology。古くはNumberNine Computer。
基本的には趣味人の会社であり、Beatlesへの傾倒あり、売るためでなくいい物を作りたい故に作るといったスタンスの感じられる、ある意味倒錯した筆者の大好きな会社である。
かなり前の話ではあるが、homepageに社員の犬自慢のページなどを平然と置くような、そういうゆったりした幸せな会社という印象。
ハイエンド製品の製造会社であり、Imagineの名を冠する自社開発チップは、筆者のようなハイエンド志向の人間にとって羨望の的だった(当時の収入は給与でなく小遣いであったし)。
Imagineシリーズの3代目はT2R、4代目はT2R4と名前を変える。そこで終息。
独自チップ開発路線を退いてSGIとの共同開発チップ、あるいはPixelFusionチップに切り替える予定だったがその前に倒産した。
現在は、S3によって買収されたが、webサイトによるサポート以外の業務は停止状態。
S3のビデオチップ部門がS3-VIAに移管されたが、その際に旧#9のスタッフがどうなったのかは不明(現在SonicBLUEのPDA関係の事業部にいるという話がある)。
同社の製品には基本的にVGA-BIOSとカードPCB上の透かしでBeatlesのナンバーに由来するメッセージが記述されている。
製品自体はImagine系チップ使用の、Imagine/RevolutionシリーズとS3社チップを採用した廉価品(といっても他社のハイエンド品に相当するレベルである)とに分けられる。
結局筆者がRealtimeで買えたのは財政的問題から、Revolution3DのPCIのSGRAM版、RevolutionIVの16MBのAGP版、S3 Savage4搭載のSR9のみであった。
現在Imagine/Revolutionシリーズはほぼすべて入手済みではあるが。
ところで、元#9CTOにしてチーフASICアーキテクトのJim Macleod氏らが興したSilicon Spectrum社のProducts欄に興味深げな文字が・・・
webpage
Silicon Spectrum

Ticket to Ride (T2R)
 Imagine128シリーズの基本設計を継承した3世代目の独自開発チップ。
 MatroxのMilleniumの成功を受けて、韓SECのWRAMをサポートした。
 WRAM版とSGRAM版で2タイプのチップがあり、どの程度コアが異なるかは知らないが、チップの刻印は異なる。
 いずれの場合でもメモリは128bit接続となる。
 DAC外付け仕様。
 AGP1XまたはPCI。
 ちなみにAGPへの対応は最も早い部類になる。
 速度的には当時として最速で、今の目で見るならば3Dは所詮はプレRIVA世代で使いものにならない(一応は3Dとして機能するレベルではある)ものの2Dでは充分現役の性能を持つ。
 当時流行だったMPRG1ベースの動画再生支援機能も持つが、役に立つことはほとんどないだろう。
 ただし、DirectDrawなどの"軟派な"処理にはドライバレベルの不備が若干あり、用途を選ぶ面があるのは否めず、全般にドライバの完成度が低かった事は否定できない。

・NumberNine Revolution3D WRAM 8M AGP
 AGPタイプ。WRAM8Mモデルで、16Mへの増設オプションが用意されている。
 WRAMは50ns品で、基本的には60ns品までしか存在しないことを考えると、選別品の類であるようだ。
 RAMDACはIBM RGB526の220MHz。BlueDACの異名で知られるハイエンドの象徴だった。
 #9のIBM製DAC搭載ボード全般に言える傾向だが、加工のない信号をそのまま出力しているという印象があり、表示された姿はたいていメリハリの強い鮮やかな、モニタさえ追従するならばシャープな画になる。モニタが追従しないときはいわゆる眠い感じの画となる。このときは諦めて使用を断念するか、定価ベースで1インチあたり1万を越えるレベルのモニタで挑んでもらいたい(ただし残念ながら三菱のRD-17G系のダイヤモンドトロン物は定価は高いものがあるが、該当しないと考える)。
 おおむね、1280*1024、条件次第では1600*1200程度までは文句のない品位の出力が得られる。全体に寒色系。フォーカスより発色の鮮明さ優先で調整されているようで、解像度は上げすぎない方が美しい傾向がある。ただし、ほとんどの場合はモニタ側や伝送経路の特性が追従しないのが画質低下の原因であることは付記しておく。
 基本的には高級CRT用のカードと考えるべきだと思われ、モニタの性能(数値的SPECではなくいかに金を掛けて作られたかの要素の方が強い)に強く依存する。ディスプレイケーブルなどの品位にも敏感である。ただし、Imagine128Series1/2のIBMDACの物ほどはCRTやケーブルを選ばない。
 以上のように、使用環境を選ぶ面があり、必ずしも高画質とは言えないが、組み合わせによっては最高の高画質を提供するボードであると筆者は確信している。
 #9のカードは起動時のVGA-BIOSにBeatlesのナンバーを意識したメッセージが含まれていることが知られており、このカードは、I've got a "Ticekt to Ride"のメッセージで起動する。
 PCBに透かし文字が入っており、文面は、Its been a hard day's night...とand we've been working like a dog.
・NumberNine Revolution3D WRAM 8M PCI
 PCIタイプ。接続バス以外は上記のAGP版に準じる。
 起動メッセージはAGP版と同じでI've got a "Ticekt to Ride"
 PCBの透かし文字は、When I get to the bottom I go back to the top of the slide と、Where I stop and I turn and I go for a ride。
 Windows98系、Windows2000共にマルチディスプレイモードサポート。ただし、Windows98ではVGA-BIOSをEnableにする必要があり、Windows2000ではBIOSをDisableにする必要がある。
・NumberNine Revolution3D WRAM 4M PCI
 上記の8MB版の裏面の4チップが空きランドになっている以外、大きな違いはない。増設用ソケットも存在する。
 ロットの問題かも知れないが、基盤表面に四角形のパターンがむき出しでちりばめてある(専門用語では何か別の表記があるのだろうが、筆者は知らない)。
・NumberNine Revolution3D SGRAM 4M PCI
 T2RのSGRAM版が搭載されている。
 RAMDACはWRAM版同様にRGB526の220MHz版。
 SGRAM版は4MBモデルと8MBモデルがあったようで、増設オプションは用意されていない。4MB版ではメモリの搭載位置が半分空きランドになっている。8MB版については存在したかどうかの確認は取れていない。
 PCBに透かし文字は、That's why go...と、for that rock & roll music.
 Windows98系、Windows2000共にマルチディスプレイモードサポート。ただし、Windows98ではVGA-BIOSをEnableにする必要があり、Windows2000ではBIOSをDisableにする必要がある。

Ticket to Ride 4 (T2R4)
 ポストRIVA世代のチップにして、#9最後の独自開発チップ。
 4というのは、Imagine128,同S-2,T2Rに続いて4つ目という意味であるらしく、NumberNine社内での開発コードはImagine4であったらしいことが細かな手がかりから伺える。
 2D速度は高速ながらすでに技術として結晶化した分野であり、T2R4でなくてはならない理由になるものではなかった。
 3D機能はDirectXによるそれを睨んだ物ではなく、OpenGLでの仕様を想定したVLIW構造のリストプロセッサを持ち、同代のチップ群(OpenGL専用系を除く)の中では最高のOpenGL系3D能力を持っていたとされる。但し、ドライバ側の不出来のためこの高性能はあまり日の目を見ることがなく、奇しくも独formac社によるMacintosh版製品がNumberNine製ドライバではなかったことにより、高性能との評価を得ることになった。
 Direct3Dにおける性能では少なくともRIA128程度の3D性能は発揮したが、生成イメージの品位はほめられた物とは言えず、Direct3Dでの使用に関しては一応は動作するという認識にとどめた方が無難だろう。
 250MHzのRAMDAC内蔵だが、配線的には外付け可能になっている。この内蔵RAMDACはドライバのバグであったようだが、フルカラーが出ないと言う問題があった。現在Windows2000で使用している限りにおいて、そうした問題は感じられない。
 メモリはSDRAMとWRAMに対応しており、WRAM使用時は256bit接続が可能な豪快な仕様となっていたが、製品としてはそういったボードは出現しなかったため、詳しい部分については不明なことが多い。
 また、MPEG2再生支援能力(iDCTでなく単にMCベースと思われるが)を持っていたようではあるが、果たしてドライバに実装されていたのかどうかすら定かではない。
 AGP2XまたはPCI。
 この頃にしては珍しくヒートシンクの必要ないチップであり、低発熱設計であるところに大きな価値を感じる。
 ドライバはWindowsNTを優先して書かれている様子だった。
 Windows9x系ドライバではDirectDraw,Direct3Dでの動作にいくらか不備が見られた。
 Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。奇しくもこのMicrosoft標準ドライバは、完成度が高いとは言えなかったNumberNine純正ドライバより安定した動作を実現している。
 なお、SGI 1600SW DFP用として、SGI社よりRevolutionIV用Windows2000用ドライバが公開されている。付属ドキュメントを読む限りはMS製ドライバを元にHawkEyeを追加、2Dパフォーマンスを改良、いくつかのバグフィクスを行ったもののようで、1920*1080、1920*1060、1600*1024の3つの解像度が追加されている。オーバーレイ機能や3D機能などは実装されていない。また、入手にあたってはアカウントを作る必要がある。実際に使用した限りでは、速度の改善が著しい。

・NumberNine RevolutionIV 16M SDRAM AGP
 AGPタイプ。SDRAM16Mモデルで、他に32Mモデルがあった。完全に両者で基盤のレイアウトが異なる。
 DACは内蔵だが充分に良好な画質。IBM RGB52x系RAMDACのカードとは似て非なる画質特性を持つ。
 おおむね中級モニタでその力を発揮する傾向があり、高級すぎるモニタでは黒地に白の字が痩せたり、色が荒れたりするなど、筆者としては不満点がある。しかし、他の#9のカードが拒否するモニタに関してはかなり素直な、ある意味#9らしい画を表示する。ただし、発色自体は他のカードに大きく水をあけられる。しかしながら、並大抵のカードよりは遙かに発色は良い事は付記しておく。
 筆者が感覚的にとらえる位置づけは、中級モニタでも#9の画を見てみたいとする向きに適すると考える。
 ある意味、Matrox社のカードの画作りに似ると考えられるかも知れないが、筆者はまるで別物と認識していて、対象としているモニタはMatrox社より上級品に寄っていると考える(筆者はRevolutionIVが美しいモニタではMatroxはフォーカスが鋭い割には色が薄く感じるし、逆ではRevolutionIVの画はぼけて見える)。
 PCBの透かし文字は、Bang, Bang...と、.... Your Silver Hammer
 起動メッセージはa little help from your friends
・NumberNine(/formac) RevolutionIV-FP for Macintosh
 PCIタイプ。SDRAM32Mモデルで、Mac用。
 基本的にはVGA-BIOSが使えないだけなので、セカンダリとしてならPCでも使用できる。
 SGIの1600SWというDFPと接続するためのOpenLDI端子が付いている、というよりはこれが主目的のボード。設計生産は独Formac社に委託されたものであるため、基盤のレイアウトはPC/AT互換機用とは全く異なっている。
 なお、PC/AT互換機向けのRevolutionIV-FPは通常の32MB版にOpenLDIモジュールを付加した構造をしているようだが、実物を見たことはないので何とも言えない。
 画質の傾向も他の#9物と違う気がするが、Macintoshで使用したときは#9らしい画であったという伝聞があるため、定量的な評価は控える。RAMDACはプログラム次第で全然違う画質の画を出すため、たとえばドライバを変えれば画質が変化することもある。
 Macintoshの場合デフォルトのガンマ値が異なるため、フィルタの設計がPC/AT互換機用のものと異なるのではないかと思われるが詳しく調べていないので不明。
 PCでMS製ドライバで使用した限りでは画質は鋭めで、コントラストが高い。白が周囲にはみ出す(にじむ)傾向があるが、全体に解像度の高い画で、1600*1200程度なら破綻しない。コントラストとブライトネスをモニタの側で下げてやるとちょうど良い感じ。傾向的にはRGB526RAMDACの画に似ている。
 少し工夫すればPC-98のWindows2000やNT4.0でも使えるようだ。
 OS/ドライバの構造上、VGA-BIOSを使って初期化するWindows98では使用できなかった。
・NumberNine RevolutionIV 32M SDRAM AGP
 AGPタイプ。SDRAM32Mモデル。
 16MBモデルとは基盤レイアウトが別物で、一回りサイズが大きい。
 出力端子付近にDFP出力用の空きランドがあり、これが装備されている物をRevolutionIV-FPとして区別する。
 実用上の特性は16MB版と大差ない。
 PCBの透かし文字は、Got to be good looking...と'Couse it's Silver Hammer you see.。斧をかたどった記号なども見られる。
 起動メッセージは16MB版と同じでa little help from your friends
・NumberNine RevolutionIV 32M SDRAM PCI (写真)
 PCIタイプ。SDRAM32Mモデル。
 出力端子付近にDFP出力用の空きランドがあり、これが装備されている物をRevolutionIV-FPとして区別する。
 一見、PCBに透かしは見あたらないが、左上に半ば第一層に隠される形でGot to be good looking...の透かし文字がある。AGP版の'Couse it's Silver Hammer you see.の文字は見あたらないが、表層によって隠されてしまっているだけかも知れない。
 画質特性ではAGP版と違いはない。
 起動メッセージもAGP版と同じでa little help from your friends

Imagine128 Series2
 Series1の後継。心底高かったSeries1ほどではないにしてもかなり高額な部類である。
 この時期のビデオチップとしては異例のサイズとヒートシンクを要するような3Dチップと比べればかわいいものだが当時としては多めの発熱がある。
 この時期のチップとしては珍しくBGAパッケージ。
 PCI仕様でDAC外付け。
 EDO-VRAM(EDO-DRAMでないことに留意)またはH-VRAM、EDO-DRAMを使用する。メモリの接続は128bitで行われる。
 マスクバッファという特殊なバッファ用メモリが使用できる。
 VGA機能は存在するが、それを制御できるVGA-BIOSの完成が遅れたため、VGA機能を代行するチップを外付けするブリッジ機能がある。
 速度は当然のごとく速いのだが、今の目で見ると驚けないことが悲しくもある。
 Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。

・NumberNine Imagine128 Series2 EDO-VRAM 4MB
 EDO-VRAMを4MB搭載。
 他にH-VRAM8MB版や、EDO-DRAM搭載の廉価版もある。
 DACにIBMのRGB526-220MHzを使用(いわゆるBlueDACというやつだ)。
 VGA専用にCirrusLogicのGD5424と512KBのFastPageModeDRAMを搭載し、マスクバッファとして512KBのFastPageModeDRAMを搭載可能。なお、Imagine128Series2チップ用VGABIOSの完成に伴い、後期モデルではGD5424とそのVRAM、マスクバッファ用のソケットも省略されている。
 基本的に剛毅な物量作戦のカードである。
 画質は最高水準にあり、解像度より発色寄りの画質設計になっている。極めて発色が良いためか、相応のモニタと接続しないとむしろ低画質にさえ見える。このカードはただ発色が良いだけだという風説も見られるが、それは誤りである。1600*1200レベルの解像度でも実用に耐える上に、Canopusのカードの良好な発色の物などのごく一部を除くと比肩するもののない発色の良さを見せる。その意味では極めて扱いの難しいカードであり、非常に#9らしいカードといえるだろう。
 起動時のBIOSメッセージはHere Comes The Sun ...
 PCBに透かし文字が入っていて、その文面はEIGHT DAYS A WEEK。
 PC/AT互換機用Windows2000添付ドライバを利用することでNEC PC-98でWindows2000で使用できることを確認した。
・NumberNine Imagine128 Series2 H-VRAM 8MB (写真)
 H-VRAMを8MB搭載。
 4MBモデルがあったのか、8MBを越えてさらに増設できる仕様なのか、増設用ソケットを取り付けるための空きランドが存在する。
 DACにIBMのRGB528-250MHzを使用。RGB526に対して2回りほどサイズが大きい
 Imagineチップ用のVGA-BIOSが完成しており、このカードはVGA用の外部チップを持たない。また、マスクバッファ用のソケットも存在しない。
 #9のカード中おそらく最大サイズのカードであり、巨大に見えたImagine128Proよりさらに大きい。PCBの色は他のカードと比べて明るく、Imagine128-1280と同様の色である。増設ソケットの空きランドがあるためか、IBM製H-VRAMが両面にわたって極めてゆとりを持って配置されている。
 Imagine128Proが手抜きなく最高の物を作るという力作であるならば、このカードは数多くの試行錯誤の後に到達した完成点という印象が強い。
 画質傾向はImagine128 Series2 EDO-VRAM 4MBを参照。ただし、DACの違いからか、さらに発色の良さに磨きが掛かっている。SONY GDM-F400/500以外での視認はしていないので推測でしか書けないが、さらに扱いにくい暴れ馬カードではないかと思われる。
 起動時のBIOSメッセージはHere Comes The Sun ...
 PCBに透かし文字が入っていて、その文面はWHILE MY GUITAR GENTRY SLEEPS
 PC/AT互換機用Windows2000添付ドライバを利用することでNEC PC-98でWindows2000で使用できることを確認した。
・formac ProFormance80
 Mac用のビデオカードなので詳しくは知らない。
 PCI(32bit/33MHz)用。
 メモリチップの数とWindows2000の報告から推測する限りDualPortDRAM8MB仕様。
 RAMDACとしてTI ViewPoint3030の220MHz品をを搭載する。ちなみに筆者は初めて目にした。
 マスクバッファメモリは標準搭載。
 実質使用できなかったので何とも書けないが、Windows2000ではスレーブとしてドライバレベルまでは正常に動作する。報告してくるRAMDACがIBM RGB526と表示されており、RAMDACのコントロールができないために画像が表示できていないのではないかと推測する。
・NumberNine Imagine128 Series2e EDO-DRAM 4MB
 Seamens製EDO-DRAM(50ns)を4MB搭載。
 同シリーズ中では最下位モデルとなるが、DACはIBMのRGB526-220MHzであり、画質においては手を抜かないというメッセージと読める。フォトレジスト液の色が薄く、ぱっと見に台湾製かと思えるほどには華奢な作りになっている。
 Imagineチップ用のVGA-BIOS搭載で、VGA専用のCirrusLogicチップは搭載されていない。マスクバッファ用のソケットはなく、空きランドになっている。
 フレームバッファがシングルポートのRAMになっていることは大きな性能低下につながっており、高解像度での速度低下やRAMDAC出力用帯域によるリフレッシュレートの上限の低さなど、上位モデルとの落差は激しい。
 画質傾向は他のSeries2カードと同様。画質性能を引き出すために高級寄りのCRTを要するが、どのみち高解像度での使用には耐えないので伝送特性にシビアでない低解像度で使うのが適切かも知れない(低解像度ならそれほどCRTの性能を要求しない)。
 起動時のBIOSメッセージはHere Comes The Sun ...
 PCBに透かし文字が何カ所か入っている。文面は以下。Yeah,Yeah,Yeah、We Love You、他にバイキングのマークと社名が透かしで入っている。
 PC/AT互換機用Windows2000添付ドライバを利用することでNEC PC-98でWindows2000で使用できることを確認した。

Imagine128(Series1)
 この惑星でもっとも高速なグラフィックソリューションと銘打って登場したビデオカード(グラフィックスチップ)にして、事実最強の2D性能を誇った真の高級機。
 #9オリジナル設計チップの第一段であり、"Imagine"の名を冠されたフラグシップ。
 内部構造やメモリインタフェースなど殆どが128bit化された、世界初の128bitチップである。
 チューリップの形をしたIMAGINE128ロゴがあり、これがボードや外装箱などに使用されているが、このロゴはSeries2以降は目にすることはなくなった。
 ビデオチップとしては非常に珍しいセラミックパッケージ(QFP)で、FABはLSI-Logic。香港で製造されたようだ。
 PCI仕様でDAC外付け。
 DualPortDRAMを使用する。
 マスクバッファという特殊なバッファ用メモリが使用できる。
 VGA機能を持たず(あるいは持っているVGA機能を活かすファームウェアが作れなかったのかも知れない)、そのためのチップを外付けするブリッジ機能がある。
 現在の感覚でも十分実用になるGDI系描画速度を持つ。
 Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。

・NumberNine Imagine128-1280
 4MBのPCI版。
 他に高クロックDACの-1600と8MB版であるProが存在する。
 VGA専用にCirrusLogicのGD5422と512KBのFastPageModeDRAMを搭載し、マスクバッファとして512KBのFastPageModeDRAMを搭載可能。
 基本的に剛毅な物量作戦のボードである。
 Imagine/Revolutionシリーズ用としては唯一、RAMDACとしてTIのViewPoint3025-175MHzを使用している。
 従って、他の#9ボードと画質の傾向が異なり、若干暖色かかった色になる。他のカード同様に発色の良さが際だっており使用モニタを選ぶ面があるが、BlueDACのカードよりはおとなしいという印象がある。品質的には上々で、1600*1200レベルの高解像度を常用するのにも適する。
 なお、このボードの頃の社名はNumberNine Computerだったようで、ボード上のシルク印刷にNumberNine Computerの表記がある。
 PCBのシルク印刷による、住所や電話番号の記載がある。
 起動時のBIOSメッセージはImagine there's no limit...
 見つけにくいが透かしが入っており、文面はLOOKEE
 搭載メモリは4MBで、TI製の70nsのDualPortRAMが使用されていた。
 PC/AT互換機用Windows2000添付ドライバを利用することでNEC PC-98でWindows2000で使用することができた。
・NumberNine Imagine128 Pro (写真)
 8MBのPCI版。
 Imagine128-1280がかすむくらいに剛毅なボード、真に最強という言葉がふさわしい風格がある。
 RAMDACはIBM RGB528-250MHz品で、筆者が初めて実物を目にした程度には珍しいチップを使用している。RGB526より一回りかふた回りほどサイズが大きいチップでそれだけでも迫力がある。
 搭載メモリは8MBで、IBM製の70nsのDualPortRAMが使用されていた。
 後期モデルは60ns品であるようだ。
 -1280がTIのRAMDACにTIのメモリ、ProがIBMのRAMDACにIBMのメモリというのに少し暗示的な物を感じたが、-1280にもIBM製メモリの物も確認できたため、どうやらそうした関連はないようだ。
 VGA専用にCirrusLogicのGD5422と512KBのFastPageModeDRAMを搭載し、マスクバッファとして512KBのFastPageModeDRAMを搭載可能。
 なお、60nsのメモリが使用された後期モデルではマスクバッファ用のソケットが省略されていて、VGA専用チップがGD5424になっている。
 筆者が手にしたボードはNumberNine ComputerでなくNumberNine Visual Technologyの表記となっている。このころに社名変更があったのだろう。
 PCBのシルク印刷による、住所や電話番号の記載があるのは-1280と共通だが、こちらはもっとはっきり目立つ、「堂々とした」表記になっている。
 起動時のBIOSメッセージはImagine there's no limit...
 恒例のPCBの透かし文字は表面に"JOHN LIVES"と裏面に"IMAGINE THERE'S NO LIMIT"
 画質はImagine128-1280と全く異なる傾向であり、Imagine128 Series2 H-VRAM 8MBと同様の、強発色寒色系。使用環境を選ぶため必ずしも高画質とは言えないが、条件次第では最強レベルの高画質ボードとして機能する。
 ・・と思っていたのだが、最近使い直してみる限りImagine128 Series2 H-VRAM 8MBと違う振る舞いをするように見える。低解像度では確かに強力な発色を備えた美しい画質を持っているようだが、1600*1200レベルの解像度では手持ちのCRTでは黒地に白が完全に痩せてしまい、正直実用にならない。
 過去にこのカードの画質で感動した記憶もあるのだが、現在再現できない以上、このカードに高画質という評価を与えるのにはためらいがある。

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