Weitek

WorkStation系のチップメーカ。
高速動作のチップを作ることで知られていた。
POWER9000によってPC市場に参入し、ある程度の成功を収めたが、後継のPOWER9100を出すも振るわず。
そのまましばらくして倒産したようだ。

POWER9000
 S3の86C928の時代に、WorkStation用のチップとして登場。
 DAC外付仕様。
 32bitのバス専用で、VGA部分を持たない。
 筆者はこの頃PC/AT互換機とは縁がなかったため、PC-98x1用としてのチップとしての知識しかないため、あまり詳しいことは知らない。
 潜在能力は高いもののそれを生かすドライバに恵まれなかったと聞く。

・Melco WSP-L
 A-MateのLocal-Bus用のボード。
 DualPortRAM2MB搭載。
 蛍光色のような変な発色が記憶に残っている。
 速度的には三流で、ドライバの完成度の低さが致命的であったのではないかと思う。

POWER9100
 S3のVision964/968と同時期に登場で、セグメント的にも競合した。
 VL-BusとPCI。
 DAC外付け仕様。
 VideoPower9130という動画支援チップがオプションとして使用可能。
 DualPortDRAM専用で、4MBまで搭載可能。
 同世代のチップ群が24bitColorモードのサポートを打ち切って32bitに移行して行く中、このチップは24bitモードをサポート(していない物もあるが、この機能はRAMDACに依存しているのだろう)しており、1280*1024にて24itモードが表示可能(フレームバッファ3.75MBを使用。32bitでは5MB必要なため使用できない)であり、このときリフレッシュレートは充分高い水準を保てる(RAMDAC依存ではあるが)。
 商業的にはどうやらVision964/968やMatrox MGA-II/MGA2064W、#9 Imagine128series2などに対して完敗したようで、この後Weitekのビデオチップを筆者は見たことがない。
 Windows98やWindows2000でマルチモニタのスレーブとして使えれば価値が高かったのだが、残念ながらマスターとしてしか使用できない(筆者としては使えるだけでも幸いであった)。

・Canopus PowerWindow9100PCI-4M
 PCI用のビデオカードで、PC/AT互換機とPC-9800系に対応する。
 DualPortDRAM4MB搭載。
 RAMDACはIBM RGB525Lの175MHz品。改めて見直して気づいたが、RGB525とRGB528がピン互換で、RGB524とRGB526がピン互換である。
 RGB528ピン互換の効能なのか画質はきわめて優れていて、筆者が知る限り最強ではないかと思われる。品位としては#9のRGB52x搭載のものと同等で、高級モニタでその力を発揮するところも共通だが、中級モニタでも充分に高画質な表示品位を保てるだけの許容範囲がある点が異なる。反面、リフレッシュレートの限界があまり高くなく、1600*1200レベルでは実用に耐えるだけのリフレッシュレートが得られない。
 1280*1024で24bitモードが使用できる価値を感じ、かつ最高水準の画質を求め、かつ速度が若干劣っても気にしないのであれば、現在でも実用として推奨できる(24bitでなく16bitでもかまわないのであれば、若干画質は劣るものの同社のPowerWindow968PCI-4M(S3 Vision968の項参照)でも問題なく、中古価格では遙かに968の方が安い。
 むろん、DirectXの類を利用するアプリケーションには不向きで、ビジネス用などに限定されるが。
 後日予備として購入したカードがVGABIOSが死んでいるか何かの理由でそのカードから起動できなかったが、そのときはW2kでマルチモニタのスレーブとして動作することがわかった。BIOSをスイッチでなく物理的に取り外せばスレーブになるのかもしれない。
・Canopus PowerWindow9100PCI-2M
 上の4MB版の廉価版と位置づけられ、定価ベースで3万の開きがある。それでも7万近い定価であり、非常に高価な品物だった。
 PCI用のビデオカードで、PC/AT互換機とPC-9800系に対応する。
 DualPortDRAM2MB搭載。
 4MB版とは全くの別物で、高級品としての風格は感じられない。4MB版とはデザイナーが別人であると思われる。精緻に並べられたチップ抵抗やコネクタ周囲の配線の形状を見るに、PowerWindow964LBのデザイナーと同一人物ではないかと推測する。
 RAMDACはAT&T PrectionDAC 505の135MHz品。中級格のDACながら素性のいい品と筆者は思っている。
 画質はかなり良好な部類だが、4MB版には劣る。モニタを選ばない傾向の良質な画。24bitモードをもたないが、2MB版では24bitモードがあることによる優位は何もないので特に問題は感じない。
・Canopus PowerWindow9130C-PCI
 PCI用のビデオカードで、PC/AT互換機とPC-9800系に対応する。
 Weitek POWER9100チップセットのフルセット構成になっていて、描画エンジンのPOWER9100、動画用エンジンのVideoPower9130、ビデオ信号入力用のPHILIPS SAA7195、RAMDACのIBM RGB514-175MHzから構成されている。
 RGB514は初めて目にしたチップだが、RGB524/526とピン互換のように見える。
 VRAMはIBM製60nsDualPortDRAMが4MB搭載されている。
 密度の高い大きめのカードである。設計の癖から9100PCI-4Mや968PCIを手がけた人物の作と思われる。
 例によって1280*1024/24bitが使用でき、筆者にとってその価値は大きい。実用上の特性は9100PCI-4Mに準ずる。
 画質は9100PCI-4Mや968PCIと同傾向。ただ、Canopusの画には全製品を通して一貫性があるので、964LBなどとも大きな違いはない。品位的には9100PCI-4Mレベルに見える。
 キャプチャ機能を含めたVideoPower9130の性能には言及しないでおく。
 専用S-VideoCableで接続するTVチューナーユニットがオプションで存在する。
 これも手元にあるのでとりあえず分解してみたが、えらく力の入った構造になっているのは分かった。使用していないので性能の評価は避ける。
・Fujitsu製 POWER9100ボード
 FMVのどの機種かに標準搭載されていたもの。
 AT&T製DAC搭載。
 VRAM2MB。
 画質はそこそこ良い。
・Fujitsu製 POWER9100ボード(+9130)
 上のボードに動画支援チップVideoPower9130を追加したタイプ。
 DACがBrookTree製になっているが、実用上とりたてて違いは感じない。

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