VideoLogic (ImaginationTechnology)

NECと組んで3D市場への挑戦を行ったがPCでは敗退
SEGAのDreamCastのVideoコアを作っているのが一番有名ではある
ImaginationTechnilogyに社名変更したらしいが、VideoLogicの方が有名で、製品パッケージにおいて名前は併記状態なのでVideoLogicと呼称することにする。
現在は、STMicroと提携し、STMicroにコアを提供して製造はSTMicroという形でPowerVR系チップを出荷している。
STMicroとHerculesが提携し、PowerVR3"Kyro"ベースのカードがHerculesから登場、また台湾、中国、韓国などのベンダからもKyroベースのカードが登場した。
しかし、STMicroがグラフィックスチップ事業からの撤退を決めたことによって、PowerVRベースの製品の継続投入はかなり難しい状況となってしまった。VIAなどがPowerVRコアの取得に動いているという噂も聞くが、消えてしまうには惜しい技術だけに、何らかの方法で市場に残ることを願う。
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PowerVR PCX1
 Z-Bufferを持たない特殊な設計の3D専用チップ。
 ワークメモリとしてSDRAMを使用する。
 PCI用
 独自API(PowerSGL)を持つことなど3dfxのVoodooGraphicsと完全に競合して完敗した。
 Z-Bufferの否定、表示される部分のみの描画計算など、独特かつ先鋭的な技術の集大成だったが、その完成度はともかく市場の先行きの見定めが甘かったことが敗因となっている。
 これらの一般にタイルベースと呼ばれるアーキテクチャを総称してPowerVRアーキテクチャとも呼び、この基本設計は常に継承されている。
 速度的には独自APIのみ実用でDirectXとの親和性の低さから、実質専用ゲーム限定の強さだった。Direct3Dとの互換性は最後まで低かった。
 PCIバスマスタリング(ドライバレベルではDirectDraw)を利用してメインのビデオカードに3D部分を転送する仕様だが、かなり相性問題があり、これも市場競争力を失速させる原因となった。
 ちなみにPCI-ISAブリッジが内蔵されており、この目的のためだけに他の用途に流用されている姿が哀愁をそそる。

・NEC-HE PC-3DEngine
 PCI用。
 4MBのSDRAMを搭載する。
 アルミ板を折り曲げた簡素なヒートシンクが印象的(同様のものはPC-FXGAなどにも見られ、NEC-HEに多いと言える構造)。

PowerVR PCX2
 PowerVR初代の後継。
 PCI用
 サポートするファンクションも増え、順当な進化をしていたが前作と同じ欠点を持っていた。
 やはりというか、実質PowerSGL専用であった。
 Matroxがこの頃3Dチップ競争で元気がなかったことを裏付けるようにこれを採用していた。

・NEC-HE PC-3DEngine2
 PCI用。
 あまり記憶にない製品なので詳しくは書けない。

PowerVR NEON250
 PowerVR Siries2
 同社のはじめての2D統合品で、コアロジック自体はSEGAのDC採用の物とほぼ同じである。
 AGP2X/PCI。
 なんというか、存在意義のないチップ。それほど遅いというわけでもないが、1世代分は明らかに遅い。
 独自APIのPowerSGLともほとんど互換性がない。

・VideoLogic NEON250
 事実上唯一のNEON250搭載カード。
 AGP用。
 Winbond製SDRAMを32MB搭載する。
 登場当時のドライバではGDI系ですら異例の完成度の低さで、正直使い続けるのが苦痛であった。
 ただし、画質だけはかなりの高水準にあり、S3チップなどに見られる透明度の高い良好な発色が得られ、1600*1200レベルの実用度が保てる、という良好な画質のカードの条件を満たしている。
 現行ドライバの完成度が高いならば仕事用になら使ってやりたいという気はする。

PowerVR KYRO
 PowerVR Siries3
 VideoChipのVIDもSVIDもSTMicroになっていたが、コアデザインは明らかにVideoLogocの手によるもので、またSTMicroにはnVi1ときの前科があるため、あえてVideoLogicの製品であるとして扱うことにする。
 STMicro名では、STG4000と呼称する。
 製品の流れとしては、NEON250の流れを汲む。タイルベースのアーキテクチャであるのも共通。
 AGP4X。最大64MBのメモリをサポートする。
 独自APIのPowerSGLはもはや存在しないようである。
 描画の振る舞いなどを見る限り、過去のVideoLogicの製品に見られた「他と明らかに違うアヤシイ振る舞い」はあまり見られなくなった。 ハードウェアによるT&L処理を取り入れていないものの、そこそこの速度性能を持つ様子である。3DパフォーマンスははっきりとCPUに依存し、1GHz程度のCPUと組み合わせる場合はGeForce2MXなどより高速であるようだ。

・POWERCOLOR EVIL-KYRO 64MB
 AGP4X。
 SDRAMを64MB搭載。
 画質は良質な部類ではあるが、一流と言えるほどではない。
 KT133のみでの症状かも知れないが、モアレのようなノイズが画面に常に出ており、とうてい長時間の視認に耐える物ではなかった。440BXでも調べてみたが、再現性が得られなかったことから、AGP4Xで動作させたときのみノイズが出る、またはKT133のAGP配線に、KYROにとってのノイズ源となりうるものがある、のどちらかではないかと思ったが、確証は得られていない。MSI K7TPROとASUS A7Vでの再現性は確認した。

PowerVR KYRO2
 実質Kyro1と違いはなく、単に動作クロックが向上した物。
 STMicroは別物と扱って欲しいそうなので、一応は別扱いに。
 型番としてはSTG4500となる。
 時期的にソフトウェアサイドの改良が進んでいて問題となるような変な動作もなくなっており、普通の製品としての地位を確立した感がある。
 HW-TCLを使用しない類のソフトウェアではGeForce2Ultraなどと比べても特に遜色ない。

・Hercules 3DProphet4500
 AGP4X。
 SDRAMを64MB搭載。
 画質は良好で、いくらか画作りを感じる。発色が弱く、CRT側のポテンシャルが高い場合には画面が淡く感じるのではないかと思われる。少なくとも#9のImagine/Revolution系やCanopusのSPECTRA系を見慣れた目にはかなり薄い色と感じた。
 妙に線やテキストが際立つ感があり、ある意味Matroxの画作りに似るが、色に関して不自然さはなく単に弱いだけである。色そのものの傾向はS3チップ、特にDiamondMMのViperIIなどに近い。
 多くのCRTの場合は発色の弱さを欠陥として感じられるほど色が出ないのでむしろ異様に良いシャープネスが目立ち、最高級の画質として感じられると思われる。
 チップファンの音が筆者には耳障りだが、静音化を意識したPC以外ではさほど問題ないかもしれない。

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