Matrox
高速な2D描画と独特の押さえ気味の発色で線や文字の表現に向いた傾向の高画質から固定ファンの多いビデオチップベンダ。
計測機器メーカでもある。
3Dビデオカードの競争で一時期敗退していたがG200/G400によって復権。但し、それに続く製品が用意できず、一度は脱落組として扱われた。
3D機能が大きく変わるDirectX9を境に、再びメインストリームに返り咲くべく、Parhelia512チップを投入するもDirectX8環境ではふるわず、またATiがフル機能製品を投入するに至って、それほど存在感が増した印象はない。
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MGA-II
S3の86C928から世界最速の名を奪ったMGA-Iの3D機能を削ったもの。
これを書いている今(1999-12)から見て特に目立つ機能もないのでこの程度で。
DAC外付け、DualPortDRAM仕様。
チップの刻印はIS-ATHENA、またはIS-ATLAS。IS-ATLASが下位であるようだが、具体的な差は知らない。
Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。
・Matrox
Impression
(?)
PCI用のボード。
TVP3026-175MHz使用。
画質は良好でMatroxらしいボードだと感じた。
MGA-2064W
Millenniumと呼ぶほうが通りが良い。
SECのWRAM(Window-RAM)という高速メモリ専用64bitグラフィックスチップで、特殊なメモリに依存するビデオチップは作れないという常識を覆した。もっとも、カードベンダを兼業するゆえにできたことではあるが。
確実に名作と呼ぶにふさわしいビデオチップ。
当時として異常なほどの高速な2D性能を誇った。
PCI,DAC外付け仕様。
チップの刻印はMGA2064Wと記載された物以外に、IS-STORMという表記の前期モデルがある。
筆者から見てこれがあまりにも成功したため、Matroxは3D系の流れに乗り遅れたのではないかと思う。
OpenGLで使うような3D機能は一応はついている。
今使うことを考えるとDirectDraw性能が貧弱(設計時になかった概念なので)であることが問題となる程度。
Windows2000/XP標準ドライバはマルチディスプレイモードサポートだが、Matrox製ドライバでもマルチモニタ動作時の性能低下が少ない。
・Matrox
Millennium OEM
2M/4M
名作にしてベストセラー。
Retail/OEMでDACの周波数(172,220)が異なった。ごく一部のOEM品にも220MHz品がある。
基本的にTI製TVP3026を使用。
Matroxの画質として語られる、文字の表現に向く、非常にシャープな画。
発色は押さえ気味ながら各色の区分はしっかりしていて、類似色を混同するようなことはあまりない。
非常に解析的な画で、明らかに画作りしているのを感じるが、自然画などの再現性を求めない向きには歓迎できる。
良質なモニタで見る分には、発色に不満を感じる点や線が痩せて感じることもあるが、低質なモニタで使ったときの視認性/実用性が高く、作業能率の向上という点で考えるならば非常に歓迎できる。
VRAMは2,4,8(2+6
or 4+4)
MGA-2164W
いわゆるMillenniumII。
Milleniumをベースに、DirectDrawや3D(FreeDと呼ばれる程度の物)などの対応を加えたチップで、2D性能の高さは最高級であった。
しかしながら、2D性能の高さによって高価格が許される時代ではなくなっており、当時高い評価を得られなかった感がある。
当時一般的でなかったマルチモニタ対応なども行われており(OS側によるサポートなどはなかった)、4枚併用することで2x2画面のマルチモニタ環境が構成できた。
DAC外付け仕様。
AGP1X/PCI
VRAMはWRAMを最大16MB搭載できるが、1600*1200で24/32bit色が出せないなど、4MBを越えて搭載するメリットは乏しいかも知れない。
Windows2000/XP標準ドライバはマルチディスプレイモードサポートだが、Matrox製ドライバでもマルチモニタ動作時の性能低下が少ない。
・Matrox
MillenniumII/4M PCI OEM
PCI用として考えると非常に完成度の高いボード。
RAMDACとしてTI
ViewPoint3026の220MHz版を搭載する。
フレームバッファは4MBのWRAMで、増設ソケット用に4MB,8MB,12MBのオプションが存在する。
筆者の感覚ではMatrox製ビデオカードの中で最も画質がよい。
MGA-1064SG
Mystiqueに搭載されたチップで、同社発の廉価品になる。
同じ頃の代表的なチップとしてはS3
ViRGE/DXがある。
MGA-2164Wで取り入れられたDirectDrawや3D系機能を持つ、Matrox初のRAMDAC統合チップ。統合されたRAMDACには158MHz,170MHz,220MHzの3タイプある。
VRAMとして64bit接続のSGRAMを2MB~8MBまで搭載できる。
・Matrox
Mystique
4M
SGRAMチップが4つ載ったPCIのカードで、4MBの増設メモリ用のコネクタがある。内蔵RAMDACだが、それを感じさせない程度の高い画質品位を持っている。・Matrox
Mystique220 4M
後期に追加されたRAMDAC220MHz品。
それ以外は上のモデルと同様。
・Matrox Mystique
2M CompaqOEM
Compaqのロゴの入ったOEM品。
増設コネクタの形状が異なる。
G100
Matroxの組みこみ市場向けチップで、MGA-1064SGの後継にあたる。
設計はG200系で、一応は3Dファンクションも持つが一応付いている程度の物でしかなく、基本的に2D用チップとして考えた方がよいだろう。
2DチップとしてはG200と同等の性能を持つ。
AGP1X,230MHzのRAMDAC内蔵。
VRAMはSGRAMを4~8MB搭載できる。
Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。
・Matrox
ProductivaG100
Matrox製品としてはかなり廉価で売られた。
4MB品と8MB品とがあるが、筆者が所有していたのがどちらだったかは記憶にない。
画質は他のMatrox同様に高品質だった。
当時3dfx
Voodoo2が最高速として知られており、2D部分としてこのカードがよく使われた。
G200
Direct3D系に流れた市場に復帰するために打ち出した最初の弾で、MGA-2164Wの後継チップではあるが、過去のような高級製品といった雰囲気には乏しい。
結果としてはやはり既存のユーザ層の支持だけで終わった感がある。
性能的にはRIVA128程度の3D性能に定評ある2D性能を付けた感じ。
250MHzのRAMDAC統合、AGP2X/PCI。
後期のSDRAMモデルは製造プロセスが0.35>0.25となったことを受けて発熱が減っている(0.25物は社内的にはG300と呼ぶという話もある)。
Windows2000標準ドライバはマルチディスプレイモードサポート。
・Matrox
MillenniumG200/SG
ここから付加機能のないものをMillenniumと呼ぶという、Mystiqueブランドとのある意味逆転が起こる。
SDRAM版より速かったが、それほど意味のある差はなかった。
1600*1200でも充分実用になる画質。
他のベンダのボードに近くはなってきてはいるが、画の特性は過去の物と同様。長所短所共に引き継いでいる。
画質類の評価は書くこと同じになるので以下の項では特別違うことがない限りパス。
・Matrox
MillenniumG200/SD
SDRAM版。
後期モデルは製造プロセスの小さいいわゆるG300になる。
G400
G200の大幅改良。
3D性能がトップクラスとなり、表現力も高くなって一気に売れ線に帰り咲いた。
初期はドライバの完成度が極めて低く、そのせいか筆者の印象は良くないのだが、トップクラスの性能であるのは確かである。
TNT2/Ultraと同等の性能。
AGP4X。
AGPの実装に独自部分があったらしく、その点で時々砂嵐画面になるなど、AMD751チップセットがらみでトラブルも出たりした。
DAC内蔵だが、外付けも併用でき、これを利用してDualHeadという単体でデュアルディスプレイを実現する機能を持つ。
DualDead機能は後に登場した他社の競合技術と異なり、Windows2000下で別解像度による独立画面を保持することが出来る。
高周波数駆動の物をMAXと呼んで区別する。
強力な環境マッピング能力を持つなど、3Dの機能でのアドバンテージがいくらかある。
・Matrox
MillenniumG400 16M/SH
Matrox製品としてきわめて普通。
これにはDualHead機能はない。
・Matrox
MillenniumG400 MAX
最上位モデル。
DualHead可能の高クロック品。
G450
G400のマイナーチェンジ版。G400を元に作られた廉価チップと考えるべきであろう。
基本的な性能はG400とほぼ同じ。
G200の時と同じような32bitColorでのスクロールに引っかかる点を感じるが、これがドライバの不備なのか他の原因なのかは未調査。
AGP4X。
DACを2つ内蔵し、これを利用してDualHeadという単体でデュアルディスプレイを実現する機能を持つ。内蔵セカンダリDACはTV出力としても使用可能。
DDR-SDRAMが使用できるが、バス幅はG400の半分の64bitであり、DDR-SDRAMはSDR-SDRAMに対して若干イニシャルレイテンシが高いこともあり、性能はかえって低下している。
・Matrox
MillenniumG450
32M/DH
Matrox製品としてきわめて普通。
外部FAN取り付け用と見られる配線があるが、FANは付属しない。
DualHead機能搭載。
・Matrox
MillenniumG450 16M/DH(SDRAM)
DDR-SDRAM版との差は単に遅い以外には感じられなかった。
G550
G450を元に高速化と機能強化を行ったチップ。
AGP4X、DDR-SDRAM仕様。
G450ベースであるのでG400のようなハイエンドを考慮した製品ではない。
いわゆるHW
T&Lエンジンを搭載しているがゲームユースでは有効とならず、またそういった性格のユニットではない。ゲーム用途ではただの高速G450と見なして良いだろう。ようやくG400を超える速度となった感があるがゲームユースで購入するような製品でないのは確かである。
2つ(!)内蔵されたTMDSトランスミッタや比較的低発熱であることなどから別の市場を見てゆくようだが筆者の目にはかなり厳しく見える。
G450同様に体感に来る妙な遅さがあり、IEスクロールなども高速ではない。
マルチモニタ機能であるDualHeadの動作速度が過去のチップより改善されており、Windows2000など、Matroxでならなくてはならない環境でのマルチモニタ用としては力を発揮する。
・Matrox
MillenniumG550
32M
AGP4X、DDR-SDRAM32MB。
LowProfileにカットされたPCBで、PCB上にはDVI-Iコネクタのみが存在する。橋架状基板を起こすことでアナログRGBのD-Sub15ピンコネクタが付いており、この場合はLowProfleの寸法ではなくなる。また、このカードではD-Sub15ピン側がプライマリとなる。
DualHead機能搭載。
チップ上にはヒートシンクのみが取り付けられており、発熱はそれほど多くはない。
画質は他のMatrox製品と大差ないが、色作りの傾向は最近の製品になるほど普通に(他社製品とそれほど違わなく)なってきていている。やはり伝送特性が甘い物に合わせてチューンされているようで、モニタの性能が高いと黒地に白などの表示では白部分が痩せて見える。
Parhelia-512
世界初の512bitGPUとされる。
512bitメモリコントローラアレイを持つとされるが、実際のメモリ接続幅は256bitである。メモリはDDR-SDRAM/SGRAMを使用する。最大搭載量は256MBとされる。
DirectX9にフォーカスして開発されており、ジオメトリ部はVertexShader2.0の仕様を満たすとされ、逆にDirectX7仕様のHardwareT&L固定機能エンジンはVertexShader部でのエミュレーション動作となっている。同社ではディスプレースメントマッピングなどに使用されるテッセレーション機能など、ハイオーダーサーフェイスにフォーカスしている様子であるが、Parhelia-512自体はDirectX8~9の折衷仕様といった製品で、PixelShaderはver1.3で、浮動小数点タイプをサポートしていない。
8000万トランジスタによって構成されており、1億を越えるATi
R300などとのトランジスタ量の差はPixelShader部分と見て良いだろう。
製造は0.15ミクロンプロセスで行われており、フリップチップとなっている。
接続インタフェースはAGPで、AGP2.0における4Xモードがサポートされている。
出力系としては、各色10bitのRAMDACを3つ内蔵しており、各色10bitのデータタイプの処理が可能になっている。3系統出力による3画面表示機能を持つが、残念ながら3つの解像度を別々に取り扱えるわけではなく、ワイドディスプレイモードになる。2画面の場合はそれぞれの解像度を別々に保持するスパニングが可能になる。
TMDSトランスミッタも2つ内蔵しているが、初期バージョンではDisableにされているようで、製品としてのカード上には単体でTMDSトランスミッタが搭載されている。
アンチエイリアスの機能としては16点サンプリングの物が搭載されている。Glyph
Antialiasingという2D環境下でのものもサポートされており、Microsoftのclear
typeのようなものだが、ガンマ補正も併用するなどそれより上質であるという。
DirectX9環境下での性能は検証環境が整っていないため言及しない。DirectX8以下の環境ではGeForce4TiファミリやR200/RV250などと大差ない性能であり、この分野においても前世代品を大きく上回ったR300に大きく水をあけられた感がある。
なお、2003年6月時点で未だにDirectX9対応ドライバがリリースされていない。
世間的には「DirectX9環境」を名乗るためにはVertexShaderとPixelShaderの2.0対応が必須といった雰囲気になってきており、逆にテッセレーターなどハイオーダーサーフェイスの部分はさほど重視される流れではないように見える。またしても、Matroxは時代の流れから取り残されて霞むのだろうか。
・Matrox
Parhelia/128MB
DDR-SGRAMを128MB(128Mb/x32品を8枚)搭載したAGP用ビデオカード。出力端子はDVI-Iが2つだが、同社独自の変換ケーブルにより、片側はRGB*2として引き出すことが出来る。
Parheliaチップ内のTMDSトランスミッタはDisableにされており、基板上にはトランスミッタが各DVIコネクタの横1つずつ実装されている(SingleLink)。基板裏にはあと8枚メモリチップを搭載できる空きランドがあるが、これらを実装することによって512bit接続となるようなことはない(128Mb*16枚での256MBモデルが存在する)。
全体に品位のいい金のかかった基板仕上がりである。搭載されているファンの騒音は大きめ。
例によって自然な画質というよりは、見やすく調整された画質という雰囲気。1600*1200では若干の画質低下を感じるが、良好といえるだけの精度は得られている。
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