速さってナンデスカ?

12/3 2000
4/19 2001 加筆

 ご苦労さまなことに、昨今は半年サイクルでビデオチップが代替わりする。
 この開発サイクルを生み出したnVidiaの功罪はさておき、なにやら新しいチップがどんどん出てくるが、ホントにそれらは速いんですか? みたいな疑問は出ちゃうわけである。
 筆者のように使う使わないはともかく3D性能の向上を追って行く向きにはともかく、そうでなくビジネスアプリケーションの類やらインターネットアプリケーションの類を使うだけの3D性能を酷使しない普通の方々には3D性能の向上など、ほとんど意味がない。
 これを書いている、2000年末、メーカ製PCの多くに一年前の低価格チップであったnVidia TNT2-M64またはそれと大差ない性能の物が採用されていることがそれを物語っている。3D性能はあまり使われていない。
 なら何故、メーカが使われもしない3D性能の向上に躍起になり、その効能をさも大きくあるように喧伝するかというと、このままではPCのグラフィックス分野が趣味性を失って結晶化してしまうからである。かつて、皆がフルサイズのオーディオ製品を購入するようになるであろうと信じたオーディオ業界と同じ轍をPCグラフィックスの分野が歩みつつあると信じてならない。
 要するに、メーカサイドとしては、ほとんどの人がビデオカードに金を突っ込まなくなるようになってしまうのがヤバいと思っているわけだ。
 で、今取り入れると売れる機能は3D性能というわけで、3D性能に特化したボードだけが市場に売られている。
 前置きが長くなった。
 要するに、ここから書きたいのは、ゲームなどの3D性能を使わない人がより実用的なビデオカードを買うための、もとい、陥穽に落ちないための知恵である。

 まず、画質については別に書いたので、そちらを参照してもらいたい。

 次に、一般的な2Dの速度はほとんど完成していてどの製品も大差ないと世間の雑誌は語る。実際にはライターの口を借りてベンチマークソフトが語る。本当であろうか?
 この分野は、はっきり言って際だった速度など必要ない。よく使う機能が遅いことが、非常に不愉快の種となるのであって、速いことは快適というわけではない。
 要するに、当たり前のことを当たり前にやれるボードが良いわけである。
 代表的な例として、IEのスクロール速度を挙げてみる。IEを起動して、本サイトのようなウナギの寝床様式のページを読ませて、ホイール付きマウスのホイール、なければカーソルキーの上下でスクロールさせてみよう。
 果たして、軽快なレスポンスは得られるだろうか?
 軽快な方は、ここが遅いとどう思うか。そうでない方は、変なもたつきもなく吸い付くような追従性が得られたらどう感じるだろうか。
 想像してもらいたい。
 もちろん、ねすけを使う人に関係ないことだし、webブラウジングをあまりしない人にはさほど関係ないことではある。だが、webブラウジングする時間は3Dを使用する時間と比べて、遙かに長い傾向であるはずである。
 ここの速さが書かれたページというのは、筆者はお目にかかったことがない(御存知の方は掲示板などで教えていただけると幸いである)。
 IEのスクロール速度に関して、筆者が記憶している特性を、下に箇条でまとめてみる。

・nVidia TNT/GeForce系
32bitColor全般に中速。GeForce2系(MXは除く)は軽快な傾向があるが、力業で何とかしているように感じてならない。
16bitColorでは問題になるほどのもたつき感はない。

・ATi Rage/Radeon
RadeonはDDR物しか触ったことはないが、レスポンスは軽快。
RageProも軽快であったため、Rage128もおそらく軽快であると思われる。

・Matrox Gx00系
16bitではどれも実用に耐えるが、32bitではG100/200は実用にならない低速さを露呈する。G450もかなり遅い部類。
不思議とG400はレスポンスがよい。

・3dfx Bansheeとその後継
全般に良好。

・S3 ViRGE/Savage系
Savage4/2000は32bitColorではかなり低速。16bitでは実用。
何故かViRGE/GX2は32bitでも実用になる速度で動作する(Windows2000)。

・3DLabs PERMEDIA2
16bitですら耐え難いほど低速。

・NumberNine Imagine/Revolution系
全て軽快に動作する。

・VideoLogic PowerVR KYRO
24bitColorまでは軽快(余談ながら、32bitColorとは24+ダミー8bitなので、実質24bitColorのこと)

 筆者としては、IEのスクロール速度はきわめて重要な性能と認識しているが、これに関して同意頂ける方は、よろしければ掲示板にただの一筆でも残していただけると幸いである。
 要望があるようなら今後、IEのスクロール速度についての記述を追加して行こうかと思う(特に、高画質ボードについては過去の物でも手元に物がある限り記載して行こうかと思う)。

 また、IEのスクロール速度以外で、普遍的作業でありながら、明らかに注目されていないような速度差がある部分があれば、お教え願いたい。

 文としての区切りはよろしくないが、ひとまず、ここで文を切らせてもらう。

(4/19 2001 加筆)
 IEのスムーズスクロールのなめらかさに関して。
 基本的にはドライバの記述方法に依存しているらしい事は判明した。
 速いレスポンスが得られるカードには二種類ある。

1,本当に速いカード
2,描画が追いつかない場合にはフレームスキップすることで処理待ち状態にはしないカード

 1,はnVidiaのDetonatorベースのカードで、128bitでDDR-SDRAMが使用されている物の類が該当する。カードが遅いとフレームスキップしないので、レスポンスは悪い。カードの速さというのはもちろんドライバの完成度にも依存するため、最近になってSavage4のスクロール速度が大きく改善されたというのはこのためではないかと思われる。
 2,は主にMicrosoft製ドライバやATiのチップなどが該当する。ATiの最近の物はフレームスキップがあまり発生しないので一見1,と区別が付かない。Microsoft製ドライバは処理が追いつかないとフレームスキップするため、処理待ち状態になることはない。
 遅いカードだが、本質的には1,と同じで、カード側の速度が不足しているため処理待ちが発生する。Permedia2やG200などが該当する。G200はWindows2000標準のMicrosoftドライバではフレームスキップされるため軽快だが、純正ドライバを入れると速度低下する。

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